ドブネズミ

< ドブネズミとは >

ドブネズミは、ネズミ目ネズミ科クマネズミ属に属する哺乳類です。
日本の家庭において現れる家ネズミ(ドブネズミ・クマネズミ・ハツカネズミ)のひとつ。
中国北部が原産といわれており、日本には600年ほど前に貨物などに紛れて侵入し、
適応して繁殖したと考えられています。

ドブネズミ クマネズミ ハツカネズミ
↑ドブネズミ(左)、クマネズミ(中)、ハツカネズミ(右)


< ドブネズミ・クマネズミ・ハツカネズミの外見での見分け方 >
まずハツカネズミは他の2種類に比べて明らかに小さいです(体長5cm〜10cm程度)。
そのためすぐに判別がつきます。

ドブネズミとクマネズミでは、基本的にドブネズミのほうが大きく育つのですが、
20cm前後の個体であった場合は大きさだけではどちらなのか判断できません。
体の特徴で見分けるしかありません。
ドブネズミのほうが体のラインがずんぐりしていて、特に腰周りがしっかりとしています。
また、ドブネズミの目は小さく、鼻先は丸め、尻尾もやや短めです。

そして見分ける最大のポイントは耳。
ドブネズミの耳は小さく耳の中が複雑な構造になっていますが、
クマネズミの耳は非常に大きく、逆に耳の中はドブネズミにくらべると非常に単純な構造になっています。


< ドブネズミの身体的特徴 >
ドブネズミは、体長は18cm〜30cm程度の大きさで、尻尾の長さまで含めるとなんと50cmに迫ります。
これは若い子猫に相当するサイズです。
『ネズミ=小動物』の先入観を持っていると、実際にドブネズミと退治したときには唖然となってしまうことでしょう。

体色は基本的には黄色がかった灰色ですが、
住んでいる環境により汚れなどでもっと黒ずんで見えることが多いです。
腹部は体色が薄くなっていて個体によっては真っ白に近い色をしている場合もあります。

ドブネズミ ドブネズミ


< ドブネズミの生息地 >
ネズミというと、天井裏をコトコト音を立てて走り回るイメージがありますが、
実はあれはクマネズミだけで、ドブネズミはジメジメした水場を好みます。
ドブネズミは高い場所には侵入せず、床下、下水道、地下鉄構内などを住処にしていることが多いです。
意外かもしれませんが、水の中には積極的に入り、泳ぎもかなり早いです。

住宅街など人間のそばにだけ住んでいるイメージもありますが、
実際には海岸や河川、水田、湿地帯の茂みなどにも多く生息しています。
また、寒さに非常に強いため、雪の下の草木の隙間や冷凍倉庫の中でも平気で活動を続けることができます。


< ドブネズミの生活と繁殖 >
ドブネズミは寒さに強い性質もあって、冬眠などはせずに年中ずっと活動を続けています。
1日の活動ピークは朝方と夕方と言われていますが、
夜間であればどの時間帯でもドブネズミは活動をしています。

生殖活動が積極的に行われるのは春と秋。
3週間程度の妊娠期間をもって、1度に10匹程度の子供を産みます。
生まれた子供は9週間程度で性成熟し、次の子供を産むようになります。
成獣の寿命はだいたい2年程度です。

ドブネズミ子供
↑ドブネズミが授乳している様子


< ドブネズミの食事と天敵 >
ドブネズミは肉食寄りの雑食性です。
自然界では穀物、草木、種子を食べたり、昆虫、ミミズ、魚介類を食べたり。
人家の近くでは生ゴミを漁って人間が残した食物を食べたりもします。
人間が食べるものであれば何でも好き嫌いなく口に入れます。
また相手が小型の動物であれば自ら狩りを行うこともあり、攻撃性は非常に高いです。
ドブネズミ同士で共食いをすることもあります。

ドブネズミの食性について最近ニュースになったのは、福岡県の沖ノ島。
沖ノ島には天然記念物に指定されている野鳥が多く生息していますが、
本来生息していなかったはずのドブネズミが侵入し繁殖してしまい、野鳥の雛や卵を襲うようになってしまいました。
その食害が問題になり対策に追われています。

逆に天敵は、大型の鳥類、猫、イタチ、ヘビなど。
しかしドブネズミはその体格が非常に大きいため、捕食者もそれなりに大型の個体のみに限られてきます。

トンビ ネコ マムシ

< ドブネズミの人間に対する害 >
@衛生面での問題
ドブネズミは下水などの湿った場所を好み、さらに死肉も食べるために、衛生状態は最悪です。
ネズミが放置してあった食物をかじったり、キッチンの上を走り回ったり、寝ている間に人間を咬んだり、
そういったことで人間がネズミの持っている病原菌に接触してしまうことがあります。

サルモネラ菌、レプトスピラ菌、ペスト菌、鼠咬症など、発症するとかなり重症になる病気も存在するため、
ネズミぐらいと馬鹿にすることはできません。

A家財の損傷
ドブネズミは際限なく前歯が伸び続ける生き物なので、常に何か固いものをかじって歯を削っています。
木材はもちろんのこと、無機物である壁材、プラスチック、何でもかじって破壊してしまいます。
コードなどの配線をかじられて、それが原因で停電や火事になるケースもあります。

Bペットへの攻撃
ドブネズミは他の種のネズミに比べて、非常に気性が荒く獰猛です。
ドブネズミより体格が小さいハムスターやインコなどのペットは攻撃の対象になる恐れがあります。
また寝ている人間に近づいて噛み付くような事例も多く報告されています。

また、ドブネズミに床下を寝床にされて糞や食物を撒き散らされると、
ゴキブリなど他の衛生害虫の繁殖を許してしまう可能性も高まってしまいます。

ドブネズミ
↑人間が出したゴミを漁るドブネズミ


< ドブネズミの侵入を防ぐための対策 >
さて、ようやく本題です。

まずはドブネズミの屋内への侵入経路をチェックしましょう。
家の周囲をチェックして、壁材の破損箇所などのドブネズミが侵入できそうな隙間を探し、
もしそういった隙間があった場合は、セメントや補修材で修復しましょう。
ドブネズミの場合は比較的床に近いような低い場所に侵入経路があることが多いです。

あと可能性が高いのは下水からのルート。
排水管の内側はネズミやゴキブリの侵入を防ぐために通常「返し」がついていますが、
盲点なのは配水管の外側を這って登ってくるケース。
そこに隙間がある場合はガムテープなどで完全に塞ぎましょう。

ドブネズミ侵入経路
↑写真のような板を製作するのも有効な手段です(ただし分厚いモノでないと食い破られます)


< もしドブネズミの侵入を許してしまったら >
ゴキブリやムカデなどの害虫は、人間の手で完全に侵入経路を断てばそれで大丈夫なのですが、
鋭い歯を持つドブネズミは、自らの力で穴を作って侵入してくることもあり得ます。
侵入を100%完全に防ぐというのはなかなか難しいことです。
家屋内にドブネズミが侵入した痕跡を発見した場合は、速やかに以下のような対処が必要になります。


@ネズミ用の忌避剤を使用する
侵入経路になっていると思われる場所に設置することで、
ネズミがその場所を嫌がって寄り付きにくくなります。
スプレータイプのものも市販されていて、どちらでも効果が期待できます。
ただし時間が経つと効果が薄れてしまうので、定期的な再設置が必要になります。




Aネズミ捕獲用のワナを設置する
ネズミを物理的に捕獲する手段として使用します。
ゴキブリホイホイの巨大版のような粘着シート、箱状のマウストラップなどが市販されています。
ネズミの通り道となっていると思われる場所に設置しましょう。
ただしドブネズミは体が大きくてかなり力が強いので、
それぞれのトラップはしっかりと固定しておかないと暴れて逃げられてしまいます。
もし捕獲に成功したときも、駆除の際に不用意に手を出すと咬まれる恐れがありますので油断は禁物です。




Bネズミ用の毒剤を設置する
「エンドックス」という名前の薬剤で、ネズミ退治には昔から定番の毒剤です。
ネズミの通り道になっている場所に多めに散布しておけば、
体に付着した薬剤をネズミが毛繕いすることで自ら体内に取り込み効果を発揮します。
また、エサとなる食べ物にふりかけておいたり、ダンゴを作ったりして、
直接ネズミの体内に取り込ませることも可能です。
ただしこの毒には即効性はないため、効き目を実感するには数日間の継続使用が必要になります。
散布した薬剤が減っていたら注ぎ足して、様子を見てみてください。



C専門業者に依頼して駆除してもらう
忌避剤、トラップ、毒剤を使っても状況が改善されない場合は、
すでに多少の対策が意味をなさないほどに大量繁殖を許してしまっている、
もしくは薬剤に抵抗力を持ったスーパーラットが生まれてしまっている、などの可能性が考えられます。
そうなってしまった場合は素直に専門業者に依頼しましょう。
数万円単位の費用がかかってしまいますが、自分の手に負えないときは仕方がありません。

ドブネズミ どぶねずみ ドブネズミの糞


< 近年のドブネズミに関するニュース >
→2016年のドブネズミのニュース
→2015年のドブネズミのニュース